俺は桃と離れたくない。



なのに親父の言葉が俺の中でリピートされる。



《真也はもう助からない。》



真也は小さい頃から俺の後ろばかりついて来た。



どんなに意地悪しても、お兄ちゃんって人懐こい顔で笑う。



真也は可愛い弟。



俺と両親は血の繋がりがない。



弟が生まれ俺はあの家にいらない存在になった。



でもあの家を出た時真也が泣いてついて来たいと言った。



俺はどうすればいい?



リビングに戻ると桃がいた。



桃の顔が見れない。



「遠矢どうかした?」



桃に嘘はつきたくない。



『さっき親父から電話が来て、弟が肺炎で入院したから見舞いに来いって、



たけど違うみたいでさ。



弟の真也助からない病気らしい。



親父泣いてたし、真也俺に会いたがってるんだ。



俺どうしていいか分からない。



桃と離れたくない。



俺今あの家に帰ったらもう桃と会えなくなる。



俺はそんなの嫌だ。』