さっきの親父からの電話、弟の具合が悪いらしい。



小さい頃から弱かった弟。


真也が風邪をこじらせ肺炎になり入院をした。



見舞いに来いと言う事だった。



両親に可愛がられ育った弱々しい弟。



俺はおまえたちの家族じゃないんだろう。



折角忘れていた幼い頃の思い出が蘇る。



親父が電話の最後にもらした言葉。


「真也は本当は肺炎ではない。


多分もう助からないと思う。


真也も母さんもこの事は知らない。


遠矢頼むから真也に会いに来てほしい。


今までおまえに辛くあって悪かった。


真也がおまえに会いたがっている。」




助からないってなんたんだよ。



死を意味するのか?



俺は桃と離れたくない。



桃にこの話しをすれば、おまえはすぐに俺に会いに行けというだろう。



でもそれは桃との別れを意味する事にもなる。



親父は俺に後を継がせるつもりだろう。



そうしたら俺はもう桃とはいれなくなる。