「ごめんねごめんね。」



私が桃花の手を握ろうとすると、



その手は遠矢に振り払われた。



私を睨む遠矢。



『桃をあの家に返すつもりはないから。』



桃花を抱き締めて言う遠矢。



私は思わず口に出てしまう。



「桃花はそれでいいの?ここにいたい?」



遠矢がいきなり立って、



『ふざけた事いうな!おまえが桃があの家にいられないようにした癖に。



どういうつもりなんだ。桃はここに来て、



ようやく泣かなくなったんだよ。



毎日震えて泣いていた。



あんなに怯えて泣いていたんだ!



なのに何勝手な事言ってんだよ!



桃ももっとこいつに怒れよ。』




遠矢が悔しそうに言う。