でも電話の向こうで母が、【桃ごめんね。】って言った。



ごめんね。の意味が分からない。



たけど聞けなかった。



聞くのが怖かっただけ。



『桃家に電話した? 』



「したよ。母さん何も言わなかった。


多分好きにしなさいって事だから、


遠矢暫くお世話になります。」



学校の荷物と着替えは明日お姉ちゃんがいない時に取りに行こう。



『桃夕飯何にする?俺何でも出来るから、桃の好きなの作ってやるよ。』



「遠矢何でも出来るってすごいね。」



遠矢が少し寂しそうな顔をする。



『俺一人暮らしながいから、自然と何でも出来る。』


私は遠矢の事何も知らない。



遠矢の家族は?



「遠矢のご両親は?」



本当の親はもういない。



俺は親父の兄、つまり叔父さんに子供がいなくて養子になった。



そしたら、今まで出来なかった本当の子供が出来、



俺は用済み。



たけど叔父は世間体を気にして、



このマンションを俺にくれたし、



生活費も学費もみんな出してくれてる。