「ふーんあんた桃に本気なんだ。


どこがいいんだか。桃より私の方がいい体してると思うけど。

桃なんか止めて私にしない。」



お姉ちゃんが遠矢にすり寄る。



『悪いけどあんたには、俺何も感じないんでね。


俺のほしいのは桃だけだから。


それに俺は宗先輩みたいに、桃を裏切ったりしない。』



遠矢が私をそっと抱き締めて、赤くなった頬をそっと触る。



『冷やした方がいい。桃もしかしてこの手も?』



私は赤く腫れた右手を隠した。



お姉ちゃんは私と遠矢を睨め家の中に入って行く。



宗はそんなお姉ちゃんの後ろ姿をずっと見ている。



遠矢が宗に、『どうして桃の姉さんの事止めねぇだよ。


桃が可哀想って思わないのか!


なんでアイツの言いなりなんだよ。』



遠矢が宗の胸ぐらを掴んだ。



「遠矢止めてもういいから。私なら大丈夫だからね。」



『言い訳ないだろうが、こんな事までされて。


桃もしかしてアイツに虐待されてるのか?』



私は違うと首を横に振るのが精一杯だった。