「……これが、アルフィア様の魂です。悲しいことですが、彼女の魂はシャザームの実験によってバラバラにされてしまいました」
「そう、みたいね……」

 ファルーシャの言葉に、私はゆっくりと頷いた。
 アルフィアの魂の状態は、悲惨だ。ガラスケースの中に浮かぶ無数の光の塊が、彼女の欠片だと思うと、なんだか苦しくなってくる。

「アルフィア……」

 私は、ケースに手を触れながらそう呟いた。
 この体は、アルフィアの体だ。本来ならば、彼女のこの魂が、この肉体に宿っていなければならない。

「お前が近づいても、特に反応はないようだな……」
「反応?」
「その魂が入っていた体が近づいて、何らかの反応を示す可能性はあった。だが、そういう訳ではないようだな……」
「あっ……」

 ディゾール様の言葉で、私は迂闊なことをしたことを悟った。
 確かに、この体をこの魂に近づけると、何か起こる可能性はあった。何も起こらなかったが、それは考慮しておくべきことだっただろう。
 アルフィアの魂を見て、私は少し動揺してしまっているようだ。もっと冷静に状況を考える必要がある。