「あの日さ……、俺と友達になりたいって、俺になりたいって言ってくれたこと。きっと、すごく勇気を出してくれたんだって思ってた」

「新庄くん……」

「さっきも、自分の言葉で話してたし、すげぇなって……」

「っ、」



そんなふうに思っていてくれるなんて。

逸らさずに強さを持ってあたしを見るのに、その温度はまろやかで溶けてしまいそう。跳ねた鼓動を包んで、熱くさせる。



「(な、なんか……、泣いちゃいそ、)」



湿っぽさが鼻の奥をつんっとさせると、新庄くんの目元がほんのりと赤みを帯びた。



「……やば。泣きそう、」



困ったよう目を伏せながら「うわ、はずっ…」と小さく笑うその表情。


あ、目が眩むってこういう時のこと言うんだって、生まれて初めての感覚なのにはっきりとわかってしまって。

新庄くんが眩しくて、熱くなった鼓動はさらに熱を持つのに、不思議と火傷しそうではなくて。


新庄くんだけが眩くて、でも目が離せずに見つめると、新庄くんが目に力を入れた。


そうして、あたしにまた大切な言葉をくれる。



「柏木希羽って、めちゃくちゃかっこいい女の子じゃん」



どっくんと大きく何かが動いた。

なのに、あたしがその正体にたどり着く前に、新庄くんの声が遠ざかろうとする。



「ほら、クラスの奴ら、もっと柏木さんと話したくて待ってんじゃね? 早くもどりなよ」



そう言って背を向けようとするから。

離れてしまう、そんなの、いや。


とっさに、新庄くんの制服のブレザーの裾をくんっと引いていた。


  ――――まって。あたしは、もっと……。