中庭について、日当たりのいいベンチに座る。

今日は小春日和だから外でお昼を食べても大丈夫だろうと、この中庭を選んだのだけれど。うん、正解だ。


人気がなくて静かな場所。

そこに、初冬の澄んだ空気を透かして落ちてくる日差しは、研ぎ澄まされたように純度が高くて。

それでいて、どこか丸く柔らかい光の粒で。


その中にいる柏木さんを想像してみる。


……うっ、なんだこれ。


「(ときめき、止まんねぇ……!)」



神々しささえ感じる想像上の柏木さんを乗せた甘い血液がどくどくと全身に巡っていくから、どうにかしたくて。でも、どうにかできるはずもなくて、せめてもとぎゅっと胸のあたりを抑えた。


「(うわー……、まじでやば、)」

「……新庄くん?」



かさり、落ち葉が鳴る。聞き心地のいい落ち着いた声が落ちてくる。

見上げれば、想像以上。


いつものクールな表情を張りつけつつも、少しだけ眉を寄せて心配を滲ませたその愛くるしさは。


「(……はぁ、食べちゃいたい)」



……はっ!

いや、ちがう!

決して、そういう意味じゃない!

邪な気持ちなんて、これっぽっちもない! ……っ、わけがない!


「(柏木さんは今日も全方向で可愛いを発令中だ!)」


こんな可愛いの目の前にして、何も思わないやついる?

無理、絶対、無理。