それから時間がたち、夕方。


私はお母さんに着付けをしてもらって、浴衣に着替えた。久しぶりに着る浴衣は少し窮屈だけど、遥陽に可愛いって思ってもらいたくて、お小遣いをはたいて買った。


昔着ていたものは子供っぽかったから、今年は新しいものを着たいなと思っていたのだ。



「似合うじゃない。初優にピッタリな柄ね」


「そう?ありがとう」



着付けが終わり、お母さんはそっと微笑む。


1人で選んだものだから不安もあったけどそう言ってもらえて嬉しくなった。


鏡に映っているのは大きな向日葵が描かれた浴衣を着ていた自分。


髪の毛も綺麗にまとめてもらい、夏祭りに行く準備は整った。



「……初優。自分の気持ちに素直になりなさいよ」


「ん?どういうこと?」



巾着にスマホや財布を入れているとお母さんにそう言われ、首を傾げる。後ろをむくと真剣な目で私を見ていた。


急にどうしたんだろう……。



「そのままの意味よ。恋は楽しいけど難しいからね。ちゃんと言いたいことを相手に言わないと伝わらないって話」