「御崎くん、弓道でもしてたの?」
「嗜む程度かな。吹野さんこそ剣道か何かの心得が?」
「センパイたちにも聞かれたけど、そんなことなくって。どうして刀の形で発現したのかわからないんだよね」
「そういうものなのか」

 特別執行委員会に所属するかどうかは本人の意思次第。当然関わり合いになどなりたくないと拒否する者もいる。ところが御崎は突然発現した能力を戸惑うことなく使いこなしてみせた、逃す手はないと、米倉はにじり寄る。

「鬼に関しても、この能力についても、分からないことばかりだよ。後輩たちのためにもデータを集めるべきだし、協力してくれたら嬉しいんだけど、ねえ吹野さん」
「無理強いは嫌なので、そこで私の名前を出さないでほしいんですけど」
「またまたぁ。吹野さんだって御崎くんが仲間になってくれたら心強いでしょう。桐生くんもなかなか応じてくれないんだし」

 米倉の半ば強引な勧誘に結希は眉をひそめるが、仲間が増えれば嬉しくありがたいのは当然で、入って欲しいとも入らなくてもいいとも言えず、ため息を落とす。
 そんな二人の会話に、ぴくり、御崎は反応を示した。