少女は学業の最中、戦っていた。
場所はもちろん彼女の通う学校、その体育館で。キュ、と上履きが床を滑り、青いチェックのスカートが翻る。すらりと伸びた脚はしなやかに、力強く駆け続ける。
対角線に位置するように同様の動きを見せる数人。
それぞれが役割を自覚して行動をしているため、互いをサポート、フォローはしても、妨げあうことはない。
――特別執行委員。
少女は、そして彼らは、そう呼ばれるものに所属していた。その名の通り学校に設けられた委員会活動のひとつ。
しかしそれはメンバーを集め活動をするための名目であり表向きのこと。……実際の活動は公に知られるものではない、つまり名前は何でも構わないのだ、ただそういう組織として存在する、それが事実。
「吹野さん!」
「うんっ」
呼ばれた少女は床を蹴り大きく跳躍する。紺色の影となって宙を舞い、一閃、鬼を叩き斬った。
窓から差し込む光を受け煌めきながら振り下ろされた刃は、確かに肉を切り裂き、だというのに血飛沫ひとつ散ることなく鞘に収まった。
鬼退治。
秘密裏の活動、それがこの委員会の役目――。