「無理なんてしてないよ」

「…………なら良いけど
 何か言いたくなったら言えよ」

「うん…………」

そこからはお互い無言になった




香音自身も………一人で考えたいんだと思う
















時間になり、ホテルを出てからも静かだった





























「……………あー…………ヤバそうだな…………」

「何が?」

病院の駐車場に車を停めようと中に入った途端、目に入るマスコミ

ここにもか………

「香音、隠れて
 なるべく顔隠せ」

「………分かった」

香音も状況を理解したようですぐに顔を伏せた


出入り口からなるべく離れたところに車を停めた


「んー………どうするか……
 裏口とかってあるんだっけ?」

「…………多分そっちにもいるよ」

「そっか………こうなったら正面突破だな!」

「本気で言ってるの?
 マスコミいるよ?」

「仕方ないだろ?
 ほら、これ着てフード深くかぶれ」

そして俺が着ていたパーカーを香音に渡した

「………もし見つかったら……?
 嫌だよ………もう………」

「大丈夫だから
 俺がついてる
 香音は俺にしがみ付いてれば良いから」

「どういうこと……?」

「俺が背負ってく
 ここ病院だし、背負われててもおかしくないだろ?
 体調悪そうにして、顔隠せ
 後は俺がどうにかするから」

「無理だよ………そんなの………」

「大丈夫、出来るから
 俺を舐めるなよ
 俺がドア開けるから待ってて」

そして先に外へ出た