「………例えば?」

「良い意味では、順応性が高いよね
 誰とでも仲良くなれそうだし、周りにも気を遣えるタイプ
 悪い意味では…………自分を押し殺してる
 誰にも悪い面は見せずに………一人で抱え込む
 仮面を使い分けるからこそ親しくなればなるほど、どれが本当の香音さんか分からなくなるし………最悪の場合、自分自身ですら分からなくなりそう」

「……ハハっ……俺の負けだ
 全部当たってるよ
 それくらい分かってるなら話すよ
 香音のこと傷つけなさそうだし」

「ありがとう」

「………親父がどこまで知ってるかは分からないけどさ
 香音、実の母親ことをずっと気にしてるんだ
 香音の母親は…………香音を守って亡くなった
 香音はずっと自分のせいだと思い込んでる
 だからかな…………急に水無瀬さんが現れて、母親ですって言われても受け止めきれない
 香音にとっての母親は一人
 家族みんなは前を向いて進み始めてるけど…………香音は…………ずっとあの時のまま……
 それが余計に水無瀬さんに対して拒否反応を生んでるというか………」