「そんなこと出来ないんですよ!
 君を置いて………僕だけ逃げるなんて……」

「私は山中先生のせいで!!」

ガラッ

「香音ちゃん、そこまでにしてあげて」

「……後藤……先生…………」

「山中、ちょっと休んでこい」

「…………ごめん」

そう言って山中先生は出て行った

「……………香音ちゃんごめんね
 盗み聞きするような形になって」

「………………………」

「山中先生もな…………玲華さん失ってから…………異常に死を恐れるようになったんだ………特に香音ちゃんのことは
 医者は………いつでも死と隣り合わせで………助けたくても助けられない命がある
 そんな中で………山中先生は頑張ってるんだ」

「そんなこと……分かってる………」

「………こんなこと香音ちゃんに言うべきではないと思うけど………
 山中先生は……香音ちゃんに依存することで………医者としての気持ちを繋ぎ止めてるんだ
 玲華さんと香音ちゃんを引き合わせてしまった責任を感じて………
 香音ちゃんが………今まで以上に死を望んだことで………焦りが出たんだと思う」