「………後藤先生は…………今でも後悔していること………ありますか………」

「あるよ……たくさん
 数えきれないくらいね」

「…………そういう時は………どうしてますか………?」

「んー………あくまで俺の場合だよ?
 俺は………割り切ってる
 もう過ぎたことだし…………今更どう足掻いたってそのことは変わらない
 変わらないなら……今やれることを少しずつでもやろうって思うようにしてる
 人間、みんな間違ってばかりだと思うよ
 間違って……それでも未来のために頑張って
 それの繰り返し」

「………そっか………」

「…………香音ちゃんが後悔していることって………お母さんのこと………かな?」

「…………………」

「………香音ちゃんにとって、あの事故が大きな分岐点になったと思う
 一つの選択で人生が変わってしまうこともある
 もちろん良い意味でも悪い意味でも
 事故は誰も予測出来ない………香音ちゃんはその選択を後悔してるんだと思うけど…………全部悪いことばかりだったかな?」

「それは…………」

「山中先生や玲華さんに出会ったことも……後悔してる?」

「………してない
 出会えて良かった……って思います………」

「選択を後悔することは仕方ないと思う
 それでも、その選択をした先にあった良いこと、出会いとかは忘れないで欲しい
 全部が全部、間違った選択をしたとは……思わないで欲しいかな」

「…………はい」