「やぁ…!
 やなの!」

………結構やられちゃってるな…………

何があったんだろ…………

ひとまず俺は声をかけた

「香音?
 俺のこと分かる?」

「……………………」

「雄斗だよ
 香音大丈夫?」

「ゆう………と…………」

「そうだよ
 俺のところ来てくれる?」

「………………………」

そしてやっと香音の手が山中先生の白衣から離れた

それを見て山中先生も香音をおろした

「香音、おいで」

そう声をかけると、やっと香音と目線が合った

その瞬間

香音の目から涙が溢れ出した

「ヒック……ゆう…と……ヒック……ヒックヒック………」

泣きながらも俺のところに来て抱きついた

俺はまだ起き上がることができないけど………その分、できるだけ抱きしめてやりたいと思った

香音に……触れたい

「香音………」

そして


右腕が微かに動く感触がした



っ……!

これなら………!



頑張って右腕に力をこめた


そしてついに


触れた…………


触れた感触もしっかりある

暖かい…………


「下山さん…右腕………」

「やっと………香音に触れられた………」

「良かった……です…………
 では………また後で来ますね
 何かあればいつでも呼んでください」

「はい…!」

そして香音と二人になった