「…………俺、1週間前に香音と喧嘩したんです
 そのままここに入院になって…………電話もメールも一切してなくて………正直合わせる顔がないですね
 腕も治ってないですし…………」

「腕はこれからですよ
 まだ動かなくても………リハビリをすれば少しは動くようになるかもしれません」

「せめて腕治ってから会いたかったな………
 喜んで欲しかった…………でもそんなこと言ってられないですもんね
 香音が俺と会うのを望んでいるなら………会います
 香音はまだ怒ってるかもしれないけど」

「大丈夫ですよ
 それじゃあ呼んできます
 くれぐれも下山さんは動かないでくださいね
 まだ安静にしていないといけませんから」

「分かりました」

そう言って後藤先生は出ていった



少しすると病室の扉が開いた

「下山さん………すみません……………無理を言って…………」

そこには香音を抱き抱えた山中先生がいた

「全然大丈夫ですよ」

「すみません…………ほら、香音さん下山さんですよ
 立てますか?」

「や…………怖い…………行かないで…………」

「僕はどこにも行きませんよ」

「雄斗…………会いたい……………」

「だから下山さんいますよ?
 顔上げてください
 顔埋めてたら何も見えないですよ」

「………出張……………」

「それは下山さんがついた嘘です
 とりあえず椅子におろしますよ」