「………俺は……香音を失いたくない」

「……………どうするかはあなた達次第です
 ただ一つ言うとすれば…………最悪の事態になった時に、決断するのは下山さんになります
 その覚悟だけは……持って欲しいです
 香音さんも……下山さんを苦しめたくないから……早めに話したんだと思いますよ
 まだ引き返せるうちに………」

「引き返すつもりは全くありません
 俺には香音がいればいい
 子供よりも………香音といたい」

「………香音さんの気持ちも聞いてあげてくださいね
 本当は………彼女が1番下山さんとの子供を欲しかったはずですから」

「……はい」

「…………あと、香音さんにはまだ言ってないんですが………そろそろ退院してもいいかなと考えています
 少しずつですが彼女が前に進もうとしているので
 ここに閉じ込めておくよりは、普段の生活でゆっくり気持ちの整理をしていった方が良さそうだと、後藤先生が言ってました」

「本当ですか!?
 良かったぁ………」