「君の自由にしたら良い………と言いたいところですが、君はそれを望んでなさそうなので…………
 僕の願いは、どんな形であれ君が幸せになることです
 きっとそれは、玲華さんも願っていることです」

「……………私は………もう嫌なの…………
 大切な人を失うのが………怖い………
 私のせいで失うのが…………1番辛い……………
 もちろん罪悪感もあるけど……………幸せになって…………その幸せを失うのが1番怖い…………
 それを…………誰も分かってない…………」

「………下山さんには話したんですか?」

「……………………」

「話した方が良いですよ
 下山さんなら受け止めてくれるはずですから」

「………言えない」

「……………君が怖がる気持ちも分かりますよ
 僕もこの仕事してて………人の死が身近に思えてきて
 恋人を作らない理由は君と同じですから
 君の気持ちを否定するつもりはないです」

「…………じゃあ」

「ですが………誰でもその気持ちに共感出来るわけではないですから
 君のような経験をしてきた人なら別でしょうが…………そう多くはないですから」

「………つまり、話してみないと伝わらないと…?」

「そうですね………
 それに考え方にもよりますよ
 人は遅かれ早かれみんな死ぬ
 それはどう足掻いても変わらない
 どうせ変わらないなら1分でも1秒でも長く大切な人の側にいたい……………そう思う人もいるはずですから」