「………お前が…………そこまでして生きていたかった訳じゃないのは分かってる
 でも俺は、お前が生きていてくれて嬉しい」

「…………何で私なんか……ヒック……助けたの……ヒック………ヒック………」

「…お前に生きてほしかったから………」

「………ひどいよ……ヒック………そんなの…ヒックヒック………無責任すぎる………ヒック」

「………お母さんの気持ちは、お母さんにしか分からない
 分からないことをいつまでも考えるな
 そんなこと考えるくらいなら………自分の幸せについて考えろ」

「……………………」

「………みんな前に進んでる
 みんなそれぞれ、新しい幸せの形ができてる
 倖輝は花恋さんと、お父さんは水無瀬さんと
 今度はお前の番なんじゃない?
 充分もう苦しんだ…………もう幸せになっていいんじゃない…?」

「……………………」

「俺との幸せ………考えてくれよ………
 俺ばっか望んでても……意味ないだろ…………」

「…ごめん…………」

「……………俺が言いたいのはこれだけ
 ゆっくりでいいから前に進んでほしい
 それで………前みたいに笑ってほしい
 俺との幸せはこの次でもいいから………自分の幸せを見つけて
 もう言わないから………覚えてて」

「………………」

「ごめんな
 頑張らせて悪かった
 おいで」

そしてそっと抱きしめた