「そんなんじゃ…………」

「…………今まで、こういう話題避けてきた
 辛いこと思い出させたくなかったから……………でも、今日後藤先生に話したってことは…………前に進もうとしているってことだよな…?」

「………………………」

「………追い討ちをかけるようだけど話す
 違う日に話してまた思い出させたくないから
 いいか?」

「うん………」

「俺は………この笑顔をまた見たい
 また心から笑えるようになってほしいんだ
 どんなに時間がかかってもいいから…………前に進んで欲しい」

「…………むり……」

「無理でも頑張ってほしい
 これから先も………罪悪感を抱えて生きていくのか?
 そんなの…………辛いに決まってる
 いつか、抱えきれなくて香音が壊れそうで怖い………
 それはお母さんだって望んでない」

「そんなの………分からないじゃん…………」

「………自分の命を懸けて守った我が子を………苦しめたい親なんているわけないだろ……………」

「……ヒック………ヒック………」

「香音………泣いてもいい
 俺がずっと側にいるから
 だから………ゆっくりでいいから前に進もう…?
 お前自身を守るためにも」

「……ヒック…ヒックヒック………」