「あー、彼女もう作らないんでしたっけ?
 忘れられないとかなんとか………」

「おー、そんなことも言ってたなー」

「え……ってことは………」

「悪いな
 俺にはめちゃくちゃ可愛いくてすっごい優しい彼女いるから
 あ、てか姿勢楽にしていいぞ
 疲れるだろ
 なんなら口調も崩して良いから
 他に誰もいないし」

「あ………じゃあ……」

「ん、彼女の話誰にも言うなよ
 うるせぇから」

「はい
 というか女子泣きそう」

「女子なー………ほとんど憧れだよ
 年上に対する」

「そっか…………
 あの、さっきの聞いてもいいですか?」

「さっきの?」

「……後悔したくないっていうやつ」

「あー………俺が教師になって2年目の頃かな
 初めて担任を持ったクラスにさ、トラウマ抱えてる奴がいて
 パニック起こしたり過呼吸起こしたり…………酷い時には自傷行為………もしてたな」

「………………………」

「俺が気づいた頃には………心が潰れてた
 何でもっと早く気づいてやれなかったんだろう………分かってやれなかったんだろうって………」