「それは………………」

「そんなことになるのは………香音ちゃんが一番望んでないだろ……?
 香音ちゃんが落ち着くまでは………少し離れていた方がいい…………お互いのために」

「………………分かった
 香音さんを………連れて帰る
 ただし、後藤の方で入院させてくれ
 また僕のところだと…………篠宮先生が来る可能性がある
 心療内科はそういうところちゃんとしてるだろ?」

「患者さんに負担かかるからな
 許可した人以外は入れない
 医者であってもな」

「…………よろしくな
 じゃあ………下山さんのところ行くか」

「香音ちゃんは?」

「連れてく
 そのまま病院に向かおう」

「了解」

「香音さん、少し触りますよ
 よいしょっと………軽すぎるな………」

「まぁ………痩せてるもんな…………」

「だな………」

そして気づいた

香音さんの口がかすかに動いてる………

何か………伝えたいことがあるのか……?

耳を口の方へ近づけ聞こうと頑張った

「……………か…………」

…………なんだ…………聞き取れない………

「おい、山中?
 どうした?」

「静かにして
 何か話してる」

そういうと後藤は黙ってくれた

「…………パ…………カ……………」

……パ……カ…………

もしかして………パーカーか………?

そう言えば…………いつも何かしら羽織ってる………

しかもさっきまで膝にかかっていたのも…………パーカーだ……………

抱き上げる時にどかしてしまった……

まさかそれか……?

「…後藤、そこにあるパーカー取ってくれ」

「ん?
 これか?」