「してからだと遅いんですよ?和泉くん?」
前から冷たい冷気と共にとても低い声が聞こえてきて恐る恐る、前を向くとそこにはニコッと笑った楓がいた。
よく見ると…口元は笑ってるけど、目が笑ってない。

キ、キレてる…?

「ちょっ、怖いって!!
楓ちゃん、なんでそんな怒ってんの!?」
楓の刺すような冷たい視線に気づいたのか、和泉くんも額に冷や汗を浮かべている。
珍しく、焦っている彼に和泉くんに流石に彼も楓には敵わないんだなと感じた。
「咲に和泉くんが近づくからです。」
清々しいほどに即答した楓。
「…っえ?
それってまさか咲ちゃんにヤキモチ妬いちゃったりしたってこと?」
ちょっと動揺したけど、すぐさまいつもの笑顔に戻った和泉くん。
…あー、これはちょっとマズいかも。