「遅いな……」
唯菜は時計を見た。
同じ会社の彼は今日は得意先との飲み会で、
たいてい飲み会の日は会社から近い私の家に泊まり、出勤する。
馬場唯菜(ばばゆいな)27歳、岡田薬品(株)に勤務している。
彼は同期で25歳の時に付き合いだした同じ職場の金城奏多(きんじょうかなた)27歳、私にはもったいないくらいのイケメンで仕事も出来るハイスペックな彼氏だ。
今日は薬品メーカーさんも一緒の飲み会らしいが、もうすぐ終わると連絡が入ってから1時間……
先に寝ててもいいといつも言ってくれるんだけどやっぱり音で目がさめちゃう……
鍵は渡してあるから布団に入って本でも読もうかな……
1LDKの一人暮らしのマンションだが、彼が来はじめてからはリビングにクイーンサイズのマットレスを置き布団を置いてある。
1部屋を寝室にしていた部屋は奏多の物も増えてきて5畳ほどの洋室に2人の服や鞄や靴の置き場にしてある。
同期の奏多とは同じく同期の歩美(あゆみ)が遊びに行くのに付いてきてと行ってみたら奏多も同期の富田(とみた)くんの付き添いだったのだ。
あれは入社して3年目の事だったかな
歩美が富田くんを気になっていて誘ったらしい。
遊園地で2人とは別れて奏多と行動する事になり、まあお互い楽しかった。
それからはよく話すようになった。
経理課の私は元々営業の集金や、手型、小切手などの諸々の手続きで顔を合わせる機会が多かった。
営業が経理課に来た時には私がよく対応する事も増えてきていたのだ