その両目は潤んでいる。
「そんな……」
そう言って言葉を失う姉妹になにも言えなかった。

四条姉妹も、もしかしたら杉川に憧れを抱いていたのかもしれない。
「ちょっとニュース番組を確認しようか」

気を取り直すように言ったのは明宏だった。
明宏は疲れた体を引きずってテレビの前へと移動する。
リモコンがないので本体で操作するしかない。

テレビを付けるとすぐにニュース番組が流れ始めた。
昨日からどこの局に合わせてもこの街のことが報道されているから、番組表を調べる必要がないのは楽だった。

テレビ画面に大写しになったのは見たこともないウイルス研究者と名乗る男性と、伝承学の研究者を名乗る男性だった。

ふたりはニュースキャスターの質問に対して自分たちの意見を返しているようだ。
「これは間違いなくウイルスです。今までも人体に大きな影響を与えるウイルスはいくらでもありました。きっと、また新種のウイルスが出てきたんでしょう」