その問いかけに育美はうんざいしたように千歳を睨みつける。
「そんなに気になるならあんたが脈を確認してくればいいでしょ」

「でも……」
育美は杉川のことが好きなんじゃなかったのか。
どうしてこんなに冷たくあしらうことができるのか、千歳には不思議だった。

千歳は明宏へ視線を向ける。
その目は助けてと言っていた。
明宏は小さくため息を吐き出すと「脈があるかどうかだけ、確認しておこう」と、答えたのだった。