2人はいつの間にか、いつものお団子頭とポニーテールになっていた。
髪の毛を気にかけている余裕なんてないはずだけれど、顔がそっくりなふたりは区別をつけるためにヘアメイクをしてくれたんだろう。

「昨日みたいに誰かが音を鳴らして、そのすきに別の場所を探すことってできるよね?」
「それに、ゾンビはモップの攻撃でも倒れるって言ってたから、それも効果的だと思う」

ふたりは交互に言ってお互いに視線を合わせて頷きあった。
どうやら本気みたいだ。

「私も賛成。せっかく見つけた生き残りなんだから、一緒に行動しなきゃ」
千歳がそう言うと育美がわざとらしく大きなため息を吐き出して、鏡を教卓へ投げ出した。

「わかった。そこまで言うなら手伝う。でも。私は探すだけでなにもしないからね」
育美の態度に明宏はまた怒鳴ってしまいそうだったけれど、どうにか気持ちを抑え込んだのだった。