自分たち以外にも生き残りがいるというのは、やっぱり心強いものだった。
みんなで力を合わせることができれば、学校からも街からも脱出できるかもしれない。

「探しに行きたいところだけど、今日はもうやめておこう」
杉川が窓へ視線を向ける。

外はすでに暗くなっているが、ゾンビたちの低いうめき声は数を増やしているようだ。
校内にいるゾンビたちも徘徊を続けているはずだ。

「そうだね。今日はゆっくり休んで明日また頑張ればいいよね」
育美が杉川の言葉に賛同する。
その声の調子はさっきまでと比べると遥かにしおらしくて、千歳は瞬きをした。

そういえば自分たちの前では教卓に座ったり、机をベッドにしたりしてたけれど、杉川が来てからはちゃんと椅子に座っている。
もしかして……。

そんな思いで育美を見つめる。
杉川がいることで育美の傲慢な性格がしおらしくなるのなら、願ってもいないことだ。

杉川は育美のストッパーになってくれるかもしれない。
そんな期待が生まれたのだった。