「保健室?」
明宏は聞き返す。

「そう。朝から調子が悪くて保健室のベッドに横になってたんだよ。テストが始まるまで休むつもりでさ。ウトウトしてたら急に廊下が騒がしくなってきて、なんだろうと思って確認してみたらもうゾンビだらけだった」

知らない間にこんなことになっていたのなら、相当驚いただろう。

「しばらく保健室で大人しくしてたんだけど、どうしてトイレに行きたくなって外に出たんだ。そしたら2人がこの空き教室から出てくるのが見えて、あそこには人がいるんだなって思って、移動してきたんだ」

移動できたのは四条姉妹が音を立ててくれていたからだと言う。
「それじゃあ、杉川は食堂へは行ってないんだな?」

「行ってないよ?」
明宏の質問に首を傾げて答える杉川。

「いくつか食べ物が持ち去られてたんだ。きっと、他にも生き残りがいる」
明宏の言葉に嬉しそうな顔を浮かべたのは四条姉妹だ。