『千歳、大丈夫!?』
電話に出るやいなや、青葉の泣きそうな声が鼓膜を揺るがした。

「今食堂に入る。食べ物を手に入れたよ」
『本当に!?』
今度ははしゃいだような声色になった。

青葉の後方からも歓声が聞こえてくる。
みんな元気みたいだ。
あれだけ音を立ててソンビをおびき寄せてくれたから、襲われなかったか心配していたのだ。

「今から戻りたいんだけど、またゾンビが集まってきてて食堂から出られないの」
『わかった。さっきと同じように音を立てればいい?』

「お願いできる?」
千歳がそう聞くより前に電話が切られてしまった。