モップの柄が長いことで距離を詰める必要がないのは明宏にとって有利だった。
明宏は距離を保ったままゾンビの頭部にモップの柄を振り下ろし続ける。

そして何度目か頭部にヒットさせたとき、ゾンビは崩れ落ちたのだ。
力なく廊下に倒れ込んだゾンビは動かない。

明宏は肩で呼吸をしながらそれを見下ろした。
「し、死んだの?」
「わからない」

左右に首を振る。
少なくても映画の中ではこんなに簡単に死ぬことはない。

1度倒れてもまた起き上がって襲ってくるのがゾンビ映画の定番だ。
「とにかく、行こう」
明宏は倒れたゾンビをまたいで食堂へと足を進めたのだった。