机の上には大きめの手鏡が置かれていて、それはマンバーの1人が昨日慌てて100均一で購入してきたものだった。
鏡の周りにはロウソクを立てているけれど、それも電池式で光るもので、本物ではなかった。
なにもかもが簡素だけれど、彼女たちの表情は真剣だった。

机を中心にしてグルリと囲んで立ち、鏡の中を覗き込む。
そこには見慣れた5人の仲間たちの顔が写っていた。
あとは教室の天井が見えるだけでなにも妙なところはない。
そうして準備が整ったとき、1人の女子生徒が咳払いをして周囲を静かにさせた。

そしておごさかな雰囲気で「それではこれより、久子さんを呼び出す儀式を行います」と告げる。
その物々しい言い方に2人の生徒が笑い出しそうになったが、慌てて両手で口を塞いでどうにかこらえた。
オカルト好きが集まったと言っても、本当にこんな儀式をすることになるとは思っていなかった。