「じゃあ、ドアを開けるぞ?」
明宏に言われて千歳は後ろでホウキを両手で握りしめた。
ドアを開けてすぐにゾンビが襲ってきてもいいように、攻撃態勢に入る。

「行くぞ!」
明宏がトイレのドアを一気に開いた。
幸い周囲にゾンビの姿は見えない。

四条姉妹が音を立ててくれたおかげで、ここら辺の体数が少なくなっているみたいだ。
その間に2人はまた走り出した。

食堂へ向けて全力で。
すぐに息が切れて足がもつれそうになるけれど、必死で前へ前へと動かしていく。

ずいぶんと長い時間走ったように感じられたけれど、それはほんの1分か2分の出来事だった。
前方に食堂のドアが見えてきたのだ。
木製の重厚なドアは両開きで、開ければ広い飲食スペースがある。