男子生徒の体がビクリと跳ねる。
『あんた、私達に責任を押し付けるつもり?』

『そ、そんなつもりはないけど、でも……』
なお反論しようとする男子生徒の顔に育美が顔を近づけた。
そして相手にしか聞こえない声で『断ったらお前の居場所はなくなるぞ』と、脅したのだ。

その瞬間に男子生徒の敗北が確定した。
今は育美1人しかいないと言っても、普段からの態度となにも変化は見られない。

このままだと機嫌を損ねてやっかいなことになりかねなかった。
明宏はため息を吐き出して育美からモップを受け取った。

こんなものでゾンビが撃退できるとは思えなかったけれど、なにも持たないよりもマシだ。
「明宏、どうする気!?」
千歳が慌てて近づいてくる。

「どっちにしても食料は必要だから、俺1人で行ってくる」
「1人って、そんなのダメだよ!」
「余計な犠牲を払う必要はない。だから千歳はここに残って」