『ねぇ、早く決めてくれない?』
それは昨日の出来事だった。

育美と、男子生徒の田中と村上の3人はクラスメートの1人に詰め寄っていた。
その生徒は成績優秀で今回のテストでも学年トップを取れるだろうと噂されていた。

3人に睨まれた男子生徒は青ざめて椅子から立ち上がることもできなくなっていた。
『俺たちにカンニングさせてくれれば、礼くらいするっつってんだろ?』

『人助けだと思って、頼むよぉ』
田中と村上が男子生徒の肩を叩いてお願いしているが、その様子はどう見ても脅しだった。

男子生徒は運が悪いことに、前回の席替えで3人に囲まれる配置になってしまったのだ。
それが運の尽き。
テストのたびにカンニングさせることを強要されていた。