「今からこのドアを開けて、椅子で床を叩いておびき寄せる。その間に教室から出て食堂へ走って」
「本気で言ってんのか? 武器もなんにもないんだぞ!?」

ゾンビには襲われれば終わりだ。
教室内でソンビ化した生徒に襲われている様子を思い出すと、その力は普段よりも強いように見えた。

もし相手の力に叶わなければ襲われてしまう。
自分がソンビ化したときの様子が頭に思い浮かんできて、明宏は強く身震いをした。

人の首の肉を引きちぎるなんて、想像しただけで恐ろしい。
そんな風になるのはごめんだ。

「武器があればいいってことでしょ?」
育美はそう言うと後方の掃除道具入れへと向かった。

「なにする気だよ」
明宏は慌ててその後を追いかける。