我ながら名案だと育美はご満悦の様子だ。
しかしそれは育美だけで、他の4人は目を見開いて青ざめた。

「なにその反応。何か文句でもあんの?」
声を荒げる育美に四条姉妹は体を寄せ合って視線を伏せた。
「映画が実際に通用するとは限らない。そういうことを言ったのは自分だろ?」

明宏が育美を睨みつけて言い返す。
「だから何? 今は緊急事態だから、あんたの戯言を信じてあげようって言ってんじゃない」
「こんな中廊下に出るなんて無理だよ。わかってよ育美」

千歳も必死になって説得しようとする。
だけど育美は言い出したら聞かない。
椅子をひとつ持つと後方のドアへを近づいていく。