みんな街のことを心配しているようで、その反面では楽しんでいるように感じられてすぐに画面を閉じた。
気分が悪い。
そう言えばここに来てからなにも飲み食いしていないことに気がついた。

「ねぇ、そろそろお腹すかない?」
育美の問いかけに千歳が頷く。
「私はさっきから喉がかわいてる。食堂に行けばなにかあるかもしれないけど、学校内も外と同じだよ」

廊下側からも複数人が歩き回る音が聞こえてきている。
けれどその中でまともな話声はひとつも聞こえてこなかった。

きっと、みんなソンビウイルスに感染してしまったんだろう。
「だけどずっとここにいるわけにはいかないよね?」
育美が教卓の前に移動して他の4人へ視線を送る。

4人はなんとなく嫌な予感がして育美から視線をそらした。
育美はクラス内でも派手な部類で、今までも傍若無人に振る舞うことがあった。