思わず声を荒げてしまう。
こんな場所に閉じ込められるなんてごめんだ。
すぐにでも出ていきたい。

育美は大股で窓へ近づくとカーテンを開いた。
その瞬間、外にいたソンビがダンッ! と両手で窓を叩いて来たので「ひっ」と小さく姫をあげて後ずさりをした。

ゾンビが叩いた窓にはベッタリと血の手形が残っている。
育美はすぐにカーテンを閉めた。

こんな状態じゃ外には出られない。
だけど太陽はすでに沈み始めていて、街はオレンジ色に染まってきていることがわかった。

「そういえば、スマホは使えるようになったよ」
思い出したように若葉が言うので育美は投げ出していたピンク色のスマホに飛びついた。
操作してみると確かにちゃんと作動する。