教室前方の高い棚の上に置かれたテレビはホコリまみれで、てっきりもう使い物にならないと思っていた。
「コンセントを入れたら普通に動いたよ。今、ニュースでこの街のことを放送してる」

青葉の言葉にテレビへ近づいていく。
見慣れた男性ニュースキャスターが深刻な表情でなにかを伝えている。
その後方に見えるのは自分たちが暮らす街の風景だったけれど、入り口には頑丈そうなバリケードが組まれて、誰も入ってこれない状況になっていることがわかった。

周囲には警官や自衛隊の姿があり、物々しい雰囲気をしている。
「なのこれ。こんなんじゃ誰も入ってこれないし、街からも出ていけないじゃん!」

ニュース画面を見た瞬間頭に血が上るのを感じた。
誰かが助けてくれると思ってここで待っているというのに、なにをしてるんだ。

「この街は完全に隔離されたみたいだ。ゾンビウイルスを外に出さないために」
明宏がため息交じりに説明する。
「ゾンビウイルス? そんなものが本当にあると思ってるの? 映画の見すぎなんじゃない!?」