その質問に答えたのは若葉だった。
「この教室の、机の上」
そう言って指差した先にはホコリの積もっていない机があった。

机の周りには薄っすらと足跡が残っていて、ここに最近複数人の生徒がきたことがわかった。
「誰の手鏡かはわからないけど、別になんでもないんじゃない?」

授業前にここにきてみんなでメークでもしていたんだろう。
千歳はそう考えて、手鏡を育美に返したのだった。