けれどそれも普通じゃない。
ゾンビのようにただれた皮膚で、怠慢な動きをしている。
「学校内だけじゃないのか……」

明宏は呟いてカーテンを閉めた。
外まで同じ現象が起こっているということは、警察や救急が来ないのも頷ける。
電波障害も、きっと今回のことが影響を与えているんだろう。

「ところでさ、これ誰のか知らない?」
教卓から下りた育美が片手に何かを持って近づいてくる。
「なにそれ?」

千歳が聞くと育美がそれを手渡してきた。
少し大きな手鏡だ。
開いてみると自分の顔が映り込む。

別に変なところは見られない。
「ただの手鏡だね。どこにあったの?」