全身にジットリとした嫌な汗をかいている。
「千歳と明宏か」
その声は教卓の方から聞こえてきた。

もう使われなくなったぼろぼろの教卓の上に座り、足を組んでいる生徒がいる。
名前は宮前育美だ。
同じ2年A組の生徒で、クラスではすごく目立つ存在だ。

派手な髪色に耳につけたピアスは当然校則違反だったけれど、本人は少しも気に留めていない。
その堂々としたふるまいのせいで、先生たちもなんとなく許してしまっている感じがしている。

他のふたりも同じクラスの女子生徒だった。
四条青葉と、四条若葉。