か細い声が大きく震える。
ダメ。

私は止まれないの。
助けられない。

やがて逃げ惑う群衆によって女子生徒の顔が踏みつけられた。
ボキッと首の骨が折れるような嫌な音が聞こえてきて耳を塞ぎたくなる。

千歳はすぐに前を向き直り、再び全力で駆け出したのだった。