そして無傷な人間を遅いはじめるんだ。
「うわっ」

後方で声がして思わず振り向く。
1人の女子生徒が足を絡ませてコケて動けなくなっている。

女子生徒は真っ青な顔でこちらを見つめ、そして右手を伸ばしてきた。
「お願い、助けて」
その声は弱々しく震えている。

一瞬足を止めてしまいそうになるけれど、明宏に手を握られているから止まれない。
女子生徒の後ろからは沢山の生徒たちが逃げてくる。
「た、助けて」