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こうして久子さんの呪いは発動した。
久子さんは鏡の中から呪いをかけた。

それは人間がゾンビ化する呪いで、久子さんの幼い頃と同じように皮膚がボロボロにただれていった。
そして呪いに感染した人間が誰かを襲うと、襲われた相手も久子さんの呪いに感染した。

そうしてまたたく間に街は呪い一色に染まってしまったのだ。
「ワクチンは存在しないんだ……」

すべての記述を呼んだ千歳が呟く。
ソンビウイルスに対抗するワクチンがあれば助かる可能性があると思っていた。

だけどこれはウイルスではなく、感染していく呪いだったのだ。
ワクチンは存在しない。

助かる見込みはどこにもない!
その時《大変です!》と、声が聞こえてきた。