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その翌日のことだった。
「お前は淫乱だ!」

そんな声で久子は叩き起こされた。
髪を掴まれて廊下を引きずられ、そのまま物置の柱にくくりつけられた。

一連のことを行ったのは奥様だった。
奥様は昨日の出来事を知って烈火のごとく怒り始めたのだ。

久子がいくら自分が悪くない。
自分はなにもしていないと説明しても、聞く耳を持ってもらえなかった。

「お前が色気を使って誘惑したんだ!」
奥様はそう怒鳴って久子に冷たい水を浴びせた。
この頃は真冬で全身ずぶ濡れになった久子はガタガタ震えた。

白い肌は余計に白くなり、体温はぐんぐん下がっていく。
その上で奥様は折檻を続けた。
久子の頬をはたき、腹を蹴りつけた。

「お前をここまで大きくしてやったのに! その恩を忘れたのかい!」
奥様が久子の耳元で怒鳴る。
けれどそのときにはすでに久子の意識は朦朧としていた。

口の端から血を流し、体には力が入らない。
寒さのせいで眠気がしていた。