読み書きもできるようになり、家事全般も難なくこなせるようになった。
「ちょっと、こっちへ」

「はい」
ご主人にいざなわれた久子はごく自然にその後ろについていった。

自分の相手はどんな人だろう。
ご主人は、どんな人を紹介してくれるだろう。
そう考えて内心緊張していた。

でも……。
誰も居ない奥の部屋へ連れてこられた瞬間、久子はご主人に押し倒されていたのだ。
「久子、お前は綺麗になったなぁ。あの薄汚れた小娘とは思えないくらいだ」

「やめてください!」
久子は必死に抵抗した。
これが自分にこっそり飴玉をくれていて、あのご主人だとは思えなかった。

久子の目には野生動物のようにうつっていた。
自分にのしかかってくる体を両手で懸命に押し戻す。
毎日仕事ばかりしている久子には多少なり筋肉がついていた。