それからも月日は流れた。
3年が経過すると久子よりも年齢の低い女中がふたり入ってきて、久子はその子たちと一緒に仕事をするようになった。

まだ小さな女中たちはしょっちゅう仕事をさぼりたがったが、そのたびに久子はキツクしかりつけた。
ここへ遊びに来ているんじゃないのよ。

ちゃんと仕事をしないと、困るのはお前たちなのよ。
すっかりお姉さんとして板のついた久子に、小さな女中たちはついてまわる。

女中としての時間は目まぐるしく過ぎていく。
着るもの、食べるものには苦労しない。

1年に1度は親元に戻ることもできる。
妹や弟も奉公へ出て、家は徐々に潤っていく。